いまさら『南十字星』感想
いまさら12月24日『南十字星』の感想。
千秋楽観劇を明後日に控え、まとめるなら今だ!と決意した次第。
その前にあんな過密スケジュールをたてる自分が悪い…。
なにしろ一昨年の初演を2回観たものだから、『李香蘭』『異国の丘』よりも思い入れは強い。
まず前2作との決定的な違い。主人公保科が有名人ではなく、無名の民間人であること。
つまり自分があの時代に生きていたら、リナや保科の姉春子さんと同じ立場になる確率は高かっただろう。
そして回想シーンなし、時系列で話が進むこと。時系列の話は観ていて楽だと思いますが、どうでしょう?
何より感嘆したのは、阿久津さんが「保科として」言葉をしゃべっていたこと。「台詞がうまくなった」のもあると思うが、何より「自然」だった。一幕目最後の「日本人を許さない!」、初演の時は芝居なのに「アンタ達(オランダ人捕虜)の勘違いだ!」と思ったのに、今回は「悪いのは保科じゃない!」と本気で思ったし、だからこそ二幕目「真実を語れ」で泣けました。ここはウインクラー役ワイスさん、ナイスアシストです。と言うより、ワイスさんも自然でした。
特筆すべきこと。
台詞巧者がこんなに揃ったミュージカルはない。
通常のミュージカルにありがちな、台詞まで音楽にのせると言う無理なことはしていないとも言える。
一番歌が多いのはヒロイン格のリナだが、そのリナだって印象的な決め台詞がある。
観た人限定でお聞きしますが、「私のために生きて!」と「貴方の事は決して忘れません。約束します」とどちらが好きですか?どちらも印象的だと思いますが、あえて選ぶなら私は後者です。この理由は「ネタばれしてます」と断っていても書けません。
ヒントは一幕目冒頭、以上!
話を元に戻して。
汐留の『オペラ座の怪人』を先に観た方は、「ムッシュー・レイエとムッシュー・ルフェーブルがいる!」と思うんだろうなあ。
私は『南十字星』が先だったので「島村中将と原田大尉がいる!」と思いました。
今回観て改めて思ったのは、「原田大尉が一番難しいだろうなあ」。芝居の流れのうえでは憎まれ役だが、実は憎まれ役ではないと思う。こんな難しい役をここまで消化するのにどれだけ時間がかかったのかと思うと鈴木さんの底力に本当に感服。
そして島村中将役の田代さん、凄いです。何が凄いってこちらもまた「自然」体なこと。監獄で保科と二人で対話するところ、口頭で家族への遺言を読むところ、最初から最後まで淡々としゃべっているのに。
最後の「ありがとう、さようなら」で鼻水が出るくらい、涙腺がやられました。続けて無念やるかたない表情の保科が歌う「祖国」、周囲をはばからず泣きました。
もっともここから後は劇場中から鼻水をすする音が聴こえましたが…。その後の「別離」も名曲だけど、私は「祖国」の方が好きです。
気がついたら「どこで泣いたか」と言う話になっちゃったなあ。「何故泣けたのか」は楽日終わった後ゆっくり追求しよう。…って、ずっと追求できてないってことじゃん。
思うことは山のように、森のようにあるのだけど。
千秋楽観劇を明後日に控え、まとめるなら今だ!と決意した次第。
その前にあんな過密スケジュールをたてる自分が悪い…。
なにしろ一昨年の初演を2回観たものだから、『李香蘭』『異国の丘』よりも思い入れは強い。
まず前2作との決定的な違い。主人公保科が有名人ではなく、無名の民間人であること。
つまり自分があの時代に生きていたら、リナや保科の姉春子さんと同じ立場になる確率は高かっただろう。
そして回想シーンなし、時系列で話が進むこと。時系列の話は観ていて楽だと思いますが、どうでしょう?
何より感嘆したのは、阿久津さんが「保科として」言葉をしゃべっていたこと。「台詞がうまくなった」のもあると思うが、何より「自然」だった。一幕目最後の「日本人を許さない!」、初演の時は芝居なのに「アンタ達(オランダ人捕虜)の勘違いだ!」と思ったのに、今回は「悪いのは保科じゃない!」と本気で思ったし、だからこそ二幕目「真実を語れ」で泣けました。ここはウインクラー役ワイスさん、ナイスアシストです。と言うより、ワイスさんも自然でした。
特筆すべきこと。
台詞巧者がこんなに揃ったミュージカルはない。
通常のミュージカルにありがちな、台詞まで音楽にのせると言う無理なことはしていないとも言える。
一番歌が多いのはヒロイン格のリナだが、そのリナだって印象的な決め台詞がある。
観た人限定でお聞きしますが、「私のために生きて!」と「貴方の事は決して忘れません。約束します」とどちらが好きですか?どちらも印象的だと思いますが、あえて選ぶなら私は後者です。この理由は「ネタばれしてます」と断っていても書けません。
ヒントは一幕目冒頭、以上!
話を元に戻して。
汐留の『オペラ座の怪人』を先に観た方は、「ムッシュー・レイエとムッシュー・ルフェーブルがいる!」と思うんだろうなあ。
私は『南十字星』が先だったので「島村中将と原田大尉がいる!」と思いました。
今回観て改めて思ったのは、「原田大尉が一番難しいだろうなあ」。芝居の流れのうえでは憎まれ役だが、実は憎まれ役ではないと思う。こんな難しい役をここまで消化するのにどれだけ時間がかかったのかと思うと鈴木さんの底力に本当に感服。
そして島村中将役の田代さん、凄いです。何が凄いってこちらもまた「自然」体なこと。監獄で保科と二人で対話するところ、口頭で家族への遺言を読むところ、最初から最後まで淡々としゃべっているのに。
最後の「ありがとう、さようなら」で鼻水が出るくらい、涙腺がやられました。続けて無念やるかたない表情の保科が歌う「祖国」、周囲をはばからず泣きました。
もっともここから後は劇場中から鼻水をすする音が聴こえましたが…。その後の「別離」も名曲だけど、私は「祖国」の方が好きです。
気がついたら「どこで泣いたか」と言う話になっちゃったなあ。「何故泣けたのか」は楽日終わった後ゆっくり追求しよう。…って、ずっと追求できてないってことじゃん。
思うことは山のように、森のようにあるのだけど。
by piramasa
| 2006-01-13 23:35
| 芝居感想