『南十字星』三都の旅尾張編 わかっちゃいるけど…
マイペースにも程がある我が『南十字星』名古屋千秋楽の感想続き。
7月30日の名古屋は快晴、そして暑かった。もっとも『南十字星』はこの時期にやるのがちょうどいいかもしれない。
それと夏休みと言うこともあり、親子二代三代で来ている人が多かった。ちなみに私の左隣は二代、右隣は三代だった。一人で来ている男性が多いのも昭和三部作の特徴かしら。
浴衣で来ている女の子も何人か見かけた。冒頭のリナは春子さんからもらった着物を着ていることを思い出して、単純にいいなと思った。
ところで『南十字星』は泣きどころだけではなく、もちろんツッコミどころもある。一番つっこみたいのはそのリナの着物姿。初めて着物を着た「インドネシアの娘さん」にしては着こなしも裾さばきもうますぎるとは、初めて大平リナを観た時(つまり2年前)からずっと思っております。宝塚で培った基礎はおのずと現れるものなのねえ。
で、初めて気がついたのは春子さんを見る原田大尉の目がとても優しかったこと。さすがに名古屋の11列目は表情がよく見える。へー、鈴木さんってこんな表情するんだとちょっと意外に思ったが(失礼)、この表情を見ていたことが二幕目で原田の心情の理解につながった。
自分1人で観る時は好き好んで2階席や1階席後方を取る私だが、たまには前の方で観るのも悪くないね。
出征する保科を見送る春子さんの、「生きてご帰還あそばしますよう」「夫には元気でいてほしいと伝えてください」と言う言葉、最近ここで目頭が熱くなる。そのせいもあるがさらに「琵琶湖周航の歌」で泣くようにもなったのは、やはり話の筋を知っているからだろう。
だって母校や故郷を象徴する歌に見送られて、しかも保科にとって、この歌を聴くのはこれが最後になってしまうのだから。
ツッコミどころその2。「京都大学ボート部出身保科勲君」の徴兵後の配属先は陸軍。学生時代の特技が活きない部署に配属されるのは世の習いです。
そして「わかっているから」こそ気がついた場面。
インドネシアで保科とウィンクラーが最初に会うところで、「何故助けた?」と問うウィンクラーに「敵である前に一人の人間だろう」と答える保科。…思っていてもなかなか口に出せない言葉だが、保科は本心からそう言える。ちょっと脱線しましたがこの場面で本当に「あっ!」と思ったのは、お互い名前を名乗ったこと。そして名乗った後は「保科」「ウィンクラー」とちゃんと名前で呼びあったこと。別れ際のウィンクラーの台詞は「保科、ダンケ。君の名は忘れない」(少し足りないかもしれないが大体こんな感じ)。
この場面は二幕目後半のすさまじいまでの伏線になっているのに、気合を入れて観ていてもサラッとやっているのが凄い。戦時下ではああ言う「切った張った」な一期一会が日常茶飯事だったと言うことか。それにしても保科もウィンクラーも、心の豊かな人間だと思う。そしてこれは正に、国境を越えた「戦友」。
さてこれが終盤で、個人的にツボに入って大泣きすることになった。その詳細はまた後で(まだ続く!?)。…次で終わるよう頑張ります。
7月30日の名古屋は快晴、そして暑かった。もっとも『南十字星』はこの時期にやるのがちょうどいいかもしれない。
それと夏休みと言うこともあり、親子二代三代で来ている人が多かった。ちなみに私の左隣は二代、右隣は三代だった。一人で来ている男性が多いのも昭和三部作の特徴かしら。
浴衣で来ている女の子も何人か見かけた。冒頭のリナは春子さんからもらった着物を着ていることを思い出して、単純にいいなと思った。
ところで『南十字星』は泣きどころだけではなく、もちろんツッコミどころもある。一番つっこみたいのはそのリナの着物姿。初めて着物を着た「インドネシアの娘さん」にしては着こなしも裾さばきもうますぎるとは、初めて大平リナを観た時(つまり2年前)からずっと思っております。宝塚で培った基礎はおのずと現れるものなのねえ。
で、初めて気がついたのは春子さんを見る原田大尉の目がとても優しかったこと。さすがに名古屋の11列目は表情がよく見える。へー、鈴木さんってこんな表情するんだとちょっと意外に思ったが(失礼)、この表情を見ていたことが二幕目で原田の心情の理解につながった。
自分1人で観る時は好き好んで2階席や1階席後方を取る私だが、たまには前の方で観るのも悪くないね。
出征する保科を見送る春子さんの、「生きてご帰還あそばしますよう」「夫には元気でいてほしいと伝えてください」と言う言葉、最近ここで目頭が熱くなる。そのせいもあるがさらに「琵琶湖周航の歌」で泣くようにもなったのは、やはり話の筋を知っているからだろう。
だって母校や故郷を象徴する歌に見送られて、しかも保科にとって、この歌を聴くのはこれが最後になってしまうのだから。
ツッコミどころその2。「京都大学ボート部出身保科勲君」の徴兵後の配属先は陸軍。学生時代の特技が活きない部署に配属されるのは世の習いです。
そして「わかっているから」こそ気がついた場面。
インドネシアで保科とウィンクラーが最初に会うところで、「何故助けた?」と問うウィンクラーに「敵である前に一人の人間だろう」と答える保科。…思っていてもなかなか口に出せない言葉だが、保科は本心からそう言える。ちょっと脱線しましたがこの場面で本当に「あっ!」と思ったのは、お互い名前を名乗ったこと。そして名乗った後は「保科」「ウィンクラー」とちゃんと名前で呼びあったこと。別れ際のウィンクラーの台詞は「保科、ダンケ。君の名は忘れない」(少し足りないかもしれないが大体こんな感じ)。
この場面は二幕目後半のすさまじいまでの伏線になっているのに、気合を入れて観ていてもサラッとやっているのが凄い。戦時下ではああ言う「切った張った」な一期一会が日常茶飯事だったと言うことか。それにしても保科もウィンクラーも、心の豊かな人間だと思う。そしてこれは正に、国境を越えた「戦友」。
さてこれが終盤で、個人的にツボに入って大泣きすることになった。その詳細はまた後で(まだ続く!?)。…次で終わるよう頑張ります。
by piramasa
| 2006-08-10 01:04
| 芝居感想