『オペラ座の怪人』感想 ただし8月5日ソワレ
8月5日ソワレの『オペラ座の怪人』感想を遅ればせながらアップします。
つまりこの日の怪人は村さんです。
言葉より頭の中で完結しているばっかりに遅筆な私ですが、期待してくださっている方がいるのは本当にありがたいことです。そう言うワケで本当に今更です。
この週からムッシュー・ルフェーブルが川地さんに替わっていた。私の中での川地さんと言えば、何と言っても『夢醒め』のリアリティ溢れるサラリーマンな部長。オークショナーやルフェーブルではどんな感じかしらとちょっと期待してみる。
それから踊り子(死語)齊藤さんがついに抜け、関さんがおよそ1年ぶりにデッドロックからご帰還。もっともよそ様のブログを拝見するとオフステ要員で戻ったと言う気がしないでもないが…。そろそろ逆戻りする頃かな?
幕が開いてみれば、川地さんはゆっくりしゃべるのと、さすがスカーを持ち役にしているだけあって低めのいいお声が素敵。私はゆっくりめの口調のオークショナーが好きなので川地さんは結構好みかも。
ところでルフェーブルは、大柄の人と小柄の人で随分動き方が違うのに気がついた。小柄な人は結構ちょこまか動く。あれだけの人数が舞台上にいるから動かないと目立たないものね。川地さんは大柄の部類に入るので動線が直線的だと思った。
それにしても川地さんと言い、ムッシュー・レイエの嘉納さんと言い、歌える人がソロのない役とはもったいないと言おうか何と言おうか…。
さて本編。
1幕目終了後は「村さん疲れてるかなあ?」と思った。「The Music Of The Night」、歌い方はいつもの?村さんだった(つまり演歌っぽい)が、テンションが一定していなかった。村さんの場合声量不足とかピッチが合わないと言う心配は皆無なだけに、なんか変。それが証拠にこの日の「The Music Of The Night」、珍しいことに終わった瞬間に拍手が出なかった。私も拍手しなかった、いやできなかった。多分心の奥底で「大丈夫?」と思っていたのだろう。
オペラ座の屋上場面でも「許しはしないーぞーッ」の「ぞーッ」がいつもの半分の長さだったし、うーんこれはやっぱり疲れてるなあ…。
もっとも同じ日に観たAさんによれば指揮者(井上さん)の振り方にも一因があるようで、普段はオケのズッコケ具合の方が気になる私だが、次回井上さんにあたったら注意して聴いてみよう。
でもさすがは師弟コンビ?、西クリスに「歌え!」と促すあたりは密度の濃い空間を感じてゾクゾクした。
西さんは長台詞になるとまだ日本語が怪しいが、パワフルな高音域と憂い顔の歌姫ぶりのギャップはなかなかイイ感じ。
幕間で感じた懸念は「ドンファンの勝利」本番で覆された。
「…獲物を待つだけだ~♪」で姿を現したファントムの姿から何とも言えない空気を感じて思わず居住まいを正した。「何が起こるのか教えたまえ」とはJCSのナンバーだが、私も誰かにそう問わずにいられなかった。何度も観ているのに。
凄かったのは「運命に従え~♪」から「もはや退けない」のあたり。「従え」の「え」の低音の決まりっぷりがたまらなく良く、その状態を維持したまま「もはや退けない」と歌い出された日には…。くどいようだが私は村さんが歌う「The Point Of No Return」が大好きなのだけど、この日は格別に良かった。正に心技体が一致した「The Point Of No Return」だった。
「もはや戻れない」でフードをはがされたあたりかな、目頭が熱くなりだしたのは。
ファントムの反応はふとした拍子に恋心を悟られてしまった人間のようであり、クリスティーヌは起きてほしくないことが起きてしまったと言う哀しげな表情。あまりにちぐはぐな2人の心が痛ましかった。
「共にどこまでも2人で…」、あれは正に絶唱だった。目頭を熱くしながらも久々に「私が共にどこまでもついていくわ!」と思ったワタクシでした。
しかし続く湖の場面、RさんとAさんのところで拝見した「津軽海峡」と「日本海」がちらついてしょうがありませんでした。村さん、『ソング&ダンス4』あたりで「津軽海峡冬景色」と「哀しみ本線日本海」を歌ってください。←ヤケ
ザ・演歌な海がちらつきながらも「怪人の隠れ家」では「醜さは顔にはないわ」あたりから完全に涙腺が崩壊した。以降最後まで涙が止まらず、ハンカチ1枚が使い物にならなくなってしまった。
最近この場面であまり感情移入できなくなっていた私だが、「お願いだからファントムを楽にしてあげて」と思ったのには我ながらビックリ。
クリスティーヌが歌う「さよなら裏切りの友…」がやけにはっきり聴こえてきたのもビックリだった。そう言えば他のクリスは立ってからベールを脱ぎ捨てるところ、西さんは座ったままベールを脱いだのが印象的だった。
そして「我が愛は終わりぬ…」を歌い上げてベールを放る直前。
ファントムがベールにそっと口づけをしたのがたまらなかった。沢木さんがこのやり方をしていたとは某様の受け売りだが、村さんがこれをやるなんて…いいものを観た。
ベールが床に落ちるのを見届けてから玉座に歩む姿に、やっと楽になれたんだなと自然に納得できた。
8月5日ソワレ、『オペラ座の怪人』を観始めてから一番泣いたと思う。泣いたからと言って今年のベストかと問われるとそれは否だが、また印象深い舞台に逢えたのは幸いだった。しかしこの日の村さんのテンションが妙だったのは「火事場のなんとか」だったのかと、今にして思った。
4月以降月1ペースを守れているおかげで、純粋に楽しむことをなんとか思い出せたようだ。5・7・8月と立て続けに村さんに泣かされると言う楽しい想定外もあったし。
さ、やっとクリアな状態で汐留に行ける。
つまりこの日の怪人は村さんです。
言葉より頭の中で完結しているばっかりに遅筆な私ですが、期待してくださっている方がいるのは本当にありがたいことです。そう言うワケで本当に今更です。
この週からムッシュー・ルフェーブルが川地さんに替わっていた。私の中での川地さんと言えば、何と言っても『夢醒め』のリアリティ溢れるサラリーマンな部長。オークショナーやルフェーブルではどんな感じかしらとちょっと期待してみる。
それから踊り子(死語)齊藤さんがついに抜け、関さんがおよそ1年ぶりにデッドロックからご帰還。もっともよそ様のブログを拝見するとオフステ要員で戻ったと言う気がしないでもないが…。そろそろ逆戻りする頃かな?
幕が開いてみれば、川地さんはゆっくりしゃべるのと、さすがスカーを持ち役にしているだけあって低めのいいお声が素敵。私はゆっくりめの口調のオークショナーが好きなので川地さんは結構好みかも。
ところでルフェーブルは、大柄の人と小柄の人で随分動き方が違うのに気がついた。小柄な人は結構ちょこまか動く。あれだけの人数が舞台上にいるから動かないと目立たないものね。川地さんは大柄の部類に入るので動線が直線的だと思った。
それにしても川地さんと言い、ムッシュー・レイエの嘉納さんと言い、歌える人がソロのない役とはもったいないと言おうか何と言おうか…。
さて本編。
1幕目終了後は「村さん疲れてるかなあ?」と思った。「The Music Of The Night」、歌い方はいつもの?村さんだった(つまり演歌っぽい)が、テンションが一定していなかった。村さんの場合声量不足とかピッチが合わないと言う心配は皆無なだけに、なんか変。それが証拠にこの日の「The Music Of The Night」、珍しいことに終わった瞬間に拍手が出なかった。私も拍手しなかった、いやできなかった。多分心の奥底で「大丈夫?」と思っていたのだろう。
オペラ座の屋上場面でも「許しはしないーぞーッ」の「ぞーッ」がいつもの半分の長さだったし、うーんこれはやっぱり疲れてるなあ…。
もっとも同じ日に観たAさんによれば指揮者(井上さん)の振り方にも一因があるようで、普段はオケのズッコケ具合の方が気になる私だが、次回井上さんにあたったら注意して聴いてみよう。
でもさすがは師弟コンビ?、西クリスに「歌え!」と促すあたりは密度の濃い空間を感じてゾクゾクした。
西さんは長台詞になるとまだ日本語が怪しいが、パワフルな高音域と憂い顔の歌姫ぶりのギャップはなかなかイイ感じ。
幕間で感じた懸念は「ドンファンの勝利」本番で覆された。
「…獲物を待つだけだ~♪」で姿を現したファントムの姿から何とも言えない空気を感じて思わず居住まいを正した。「何が起こるのか教えたまえ」とはJCSのナンバーだが、私も誰かにそう問わずにいられなかった。何度も観ているのに。
凄かったのは「運命に従え~♪」から「もはや退けない」のあたり。「従え」の「え」の低音の決まりっぷりがたまらなく良く、その状態を維持したまま「もはや退けない」と歌い出された日には…。くどいようだが私は村さんが歌う「The Point Of No Return」が大好きなのだけど、この日は格別に良かった。正に心技体が一致した「The Point Of No Return」だった。
「もはや戻れない」でフードをはがされたあたりかな、目頭が熱くなりだしたのは。
ファントムの反応はふとした拍子に恋心を悟られてしまった人間のようであり、クリスティーヌは起きてほしくないことが起きてしまったと言う哀しげな表情。あまりにちぐはぐな2人の心が痛ましかった。
「共にどこまでも2人で…」、あれは正に絶唱だった。目頭を熱くしながらも久々に「私が共にどこまでもついていくわ!」と思ったワタクシでした。
しかし続く湖の場面、RさんとAさんのところで拝見した「津軽海峡」と「日本海」がちらついてしょうがありませんでした。村さん、『ソング&ダンス4』あたりで「津軽海峡冬景色」と「哀しみ本線日本海」を歌ってください。←ヤケ
ザ・演歌な海がちらつきながらも「怪人の隠れ家」では「醜さは顔にはないわ」あたりから完全に涙腺が崩壊した。以降最後まで涙が止まらず、ハンカチ1枚が使い物にならなくなってしまった。
最近この場面であまり感情移入できなくなっていた私だが、「お願いだからファントムを楽にしてあげて」と思ったのには我ながらビックリ。
クリスティーヌが歌う「さよなら裏切りの友…」がやけにはっきり聴こえてきたのもビックリだった。そう言えば他のクリスは立ってからベールを脱ぎ捨てるところ、西さんは座ったままベールを脱いだのが印象的だった。
そして「我が愛は終わりぬ…」を歌い上げてベールを放る直前。
ファントムがベールにそっと口づけをしたのがたまらなかった。沢木さんがこのやり方をしていたとは某様の受け売りだが、村さんがこれをやるなんて…いいものを観た。
ベールが床に落ちるのを見届けてから玉座に歩む姿に、やっと楽になれたんだなと自然に納得できた。
8月5日ソワレ、『オペラ座の怪人』を観始めてから一番泣いたと思う。泣いたからと言って今年のベストかと問われるとそれは否だが、また印象深い舞台に逢えたのは幸いだった。しかしこの日の村さんのテンションが妙だったのは「火事場のなんとか」だったのかと、今にして思った。
4月以降月1ペースを守れているおかげで、純粋に楽しむことをなんとか思い出せたようだ。5・7・8月と立て続けに村さんに泣かされると言う楽しい想定外もあったし。
さ、やっとクリアな状態で汐留に行ける。
by piramasa
| 2006-09-03 10:32
| 芝居感想