2月16・17日『オペラ座の怪人』感想① 記念日にふさわしくない感想?
2月19日は「オペラ座記念日」でした。
もちろん公式の記念日ではありません。
私が『オペラ座の怪人』に本格的にはまったのが3年前の2月19日だから・・・。
そんなワケで去年一昨年、そして今年は2月16・17日に前倒しで記念日観劇としゃれこみました。しかし四季の常で、チケットを取った時点でキャストはわかりません。
キャストは、佐野さんのファントムに佐渡さんのクリスティーヌ。
語弊を恐れずに書くと、「よりによって(私の)苦手な人同士にあたらなくても・・・」と頭を抱えました。
まあ佐野さんは多少苦手意識は薄れたけど、佐渡さんは・・・。
そのうえラウルはデビュー4週目の本当に若造な岸さん。
見た目のバランスは大丈夫か・・・と余計な心配までしました。
結論から書きます。
佐野さん、佐渡さん、ゴメンなさい。
そして改めて『オペラ座の怪人』は凄いと思った。
客席に入ってオケの音が聞こえないことにまだ違和感を感じながら開幕。
この日のオークショナー(すなわちムッシュー・ルフェーブル)は勅使瓦さん。
私は『アイーダ』のファラオとストプレの何かで拝見した記憶があります。
お名前をお見かけする度に、「勅使瓦さんって、深見さんに『テッシー』と呼ばれてそう」といつも思うことをここで告白いたします。
間合いは登場して間もないことを考えるとまあまあでしょうか。
さて今回の遠征一番の注目である新ラウル岸さん。
じいさんなのに声が若々しいよ!という突っ込みはさておき、私がまず「おっ!」と思ったのは目の配り方。あれは…、相当台本を読んで丁寧に感情を追っていったとお見受けします。
オーヴァーチュアが流れてシャンデリアがゆっくり上昇していくのを見ると、「ファントムを観にきたんだなー」と実感する。東京から離れ、足しげく通えなくなった今は殊更そう思う。
だからこの後のカルロッタの出も、芝居を印象づける場面であることが実感できた。
種子島さんの変わらぬ豊かなハイトーンもお見事!
私なら足も声も震えるでしょう。凄い!
健ちゃん・・・、もとい、石井ピアンジのマントのひるがえし方も相変わらずカッコいい!
そこへ今回の遠征2番目の注目に急遽なった田代レイエ登場。
いやー私、やっぱり田代さんのレイエ好きだわ~。
ムッシュー・ルフェーブルに詰め寄るところとか、ピアンジがまた「ローマァ」とやって「あっ、この野郎!」って表情になるところとか、いかにも「専制君主な演出主任」って感じがたまりません。
ムッシュー・ルフェーブルとタイマン(語弊)はるところなんか、勅使瓦さんも身長が同じぐらいだから久々に火花が飛び散るのが見えました。
ところで佐渡さんのクリスティーヌ、以前観た時はやっぱり他の踊り子さんより年かさに見えたのだけど、今回はあまり違和感がなかった。せいぜい「ああこの人、顔立ちが大人びてるな」ぐらい。・・・ふーん、これはいいかも?
でも「Think of me」の歌い方は、相変わらずいただけなかった。特に母音の次にくる「ら行」の発音がちょっと・・・。
さてお待ちかね、若き日のシャニュイ子爵岸ラウル様登場。
スキンブルの時に歌詞をぶつ切りにして歌うのがえらく気になったので、今回もそこが気がかりでした。
が、さすがにお稽古を相当されたと見えて、ある程度解消はされていたと思います。なんとなく歌うのに精一杯という感触は否めませんでしたが。
それよりも雰囲気が良かった。「育ちがいい」と言うより「きちんと育てられた」人。「好青年」「誠実」という言葉がぴったりくるラウルです。
「遅くまで引き止めないから」という言葉が信憑性をもって聞こえたのは、岸さんが初めてかも(笑)。
ああそれから、岸ラウルは「ひげラウル」なんですが、初めて観た瞬間「誰かに似ている・・・?」と思いました。それから一幕目の間中ずっと考えていて、幕間でやっと思い出しました。
「渋谷さんが若い時にラウルをやったらこんな感じ?」と。・・・私だけ?
佐渡クリスと岸ラウルの見た目のバランスが取れていたのは嬉しい誤算でした。
男女の身長差で一番バランスがとれて見えるのは15センチだそうで、もしかしたらこのお二人はそれぐらいの身長差だったのかしらん。
いや、それだけではありませんでした。今回の佐渡さんは何かが違う。
でも「もう子供の頃の私たちじゃないのよ、ラウル」で、さっさと座らないのもまだ頂けない。
座るか座らないかのうちにファントムの声が重なってしまうのは、タイトルロールに対して失礼だと思うのは私だけか。
しかし今回は佐野さんも(私には)一味違った。
そりゃあ第一声で空気をガラリと変えてしまう点では高井さん村さんが断然上だが、・・・なんだろうこの感触。後から「何か」が体中にまとわりついてくる感じ。
またここの佐渡さんの表情が素晴らしく良かったんですわ。正に何かにとり憑かれたような。
久々に「The Phantom of the Opera」からアンマスクまで見入ってしまいました。
佐野さんと佐渡さんの声の相性がバッチリだったのが一番の要因かもしれません。
ああもっとも、「The music of the night」はまだまだ突っ込みどころ満載でしたけれど・・・。
でも汐留の時よりはるかに良くなっていると思います。それとも私が慣れたのか・・・?
「支配人のオフィス」
小泉フィルマンの新聞の投げ方が大変お上手なのに、この日ようやく気がつきました。
それから支配人ぶりがだいぶ板についてきましたね。寺田アンドレと並ぶとバランスが取れていてイイ感じです。
しかし声が…、やはり老伯爵やパッサリーノを思い出してしまう(笑)。
とどめは何と言ってもアレでしょう。
「プリ~マドッンナ」
・・・久々に耳にして、思わず泣き笑いしそうになりました。しかも寺田さんがアンドレだし。
「そして私達は、故人を忘れることはないでしょう」(元ネタ『ジキル&ハイド』の「事件、事件」)・・・と、演目違いな台詞を思い出すワタクシでした。
「イル・ムート」
増田さんはここでも当たり前のようにいらっしゃいました(苦笑)。そろそろ猫屋敷で長老やっていただけないかしら。
さらにここで、アーチの上でウロウロする佐野ファントムも台詞と口の動きが微妙にズレていたのはナイショ。でも私も今回初めて気がついた(※)ので、回数浅い方は気がつかないかも。
こういうところがわかると、「さすが佐野さん!」と思います。
※私、2階席フェチだから(笑)
オペラ座の屋上場面。
楽屋の場面に引き続き、佐渡クリスと岸ラウルが見た目以外でもバランスがとれていたのにまたビックリ。
ここで確信しました。岸さんも役作りを相当入念にしているとお見受けするが、やはり佐渡さんの役へのアプローチ方法が変わったのだろうと。
だから「趣味:観劇」はやめられない。
「ファントムの佐野さんは苦手」と公言して憚らなかったが、16・17日と連続で観て「ああ、私の好きな佐野さんに限りなく近づいた」と安心しました。
「近づいた」と言うより、「やっと完全に自分のペースで観られた」と言う方が正しいかもしれません。
はっ、また一幕目でこの長さ?
そんなワケで二幕目の感想はまたエントリーを改めます。
もちろん公式の記念日ではありません。
私が『オペラ座の怪人』に本格的にはまったのが3年前の2月19日だから・・・。
そんなワケで去年一昨年、そして今年は2月16・17日に前倒しで記念日観劇としゃれこみました。しかし四季の常で、チケットを取った時点でキャストはわかりません。
キャストは、佐野さんのファントムに佐渡さんのクリスティーヌ。
語弊を恐れずに書くと、「よりによって(私の)苦手な人同士にあたらなくても・・・」と頭を抱えました。
まあ佐野さんは多少苦手意識は薄れたけど、佐渡さんは・・・。
そのうえラウルはデビュー4週目の本当に若造な岸さん。
見た目のバランスは大丈夫か・・・と余計な心配までしました。
結論から書きます。
佐野さん、佐渡さん、ゴメンなさい。
そして改めて『オペラ座の怪人』は凄いと思った。
客席に入ってオケの音が聞こえないことにまだ違和感を感じながら開幕。
この日のオークショナー(すなわちムッシュー・ルフェーブル)は勅使瓦さん。
私は『アイーダ』のファラオとストプレの何かで拝見した記憶があります。
お名前をお見かけする度に、「勅使瓦さんって、深見さんに『テッシー』と呼ばれてそう」といつも思うことをここで告白いたします。
間合いは登場して間もないことを考えるとまあまあでしょうか。
さて今回の遠征一番の注目である新ラウル岸さん。
じいさんなのに声が若々しいよ!という突っ込みはさておき、私がまず「おっ!」と思ったのは目の配り方。あれは…、相当台本を読んで丁寧に感情を追っていったとお見受けします。
オーヴァーチュアが流れてシャンデリアがゆっくり上昇していくのを見ると、「ファントムを観にきたんだなー」と実感する。東京から離れ、足しげく通えなくなった今は殊更そう思う。
だからこの後のカルロッタの出も、芝居を印象づける場面であることが実感できた。
種子島さんの変わらぬ豊かなハイトーンもお見事!
私なら足も声も震えるでしょう。凄い!
健ちゃん・・・、もとい、石井ピアンジのマントのひるがえし方も相変わらずカッコいい!
そこへ今回の遠征2番目の注目に急遽なった田代レイエ登場。
いやー私、やっぱり田代さんのレイエ好きだわ~。
ムッシュー・ルフェーブルに詰め寄るところとか、ピアンジがまた「ローマァ」とやって「あっ、この野郎!」って表情になるところとか、いかにも「専制君主な演出主任」って感じがたまりません。
ムッシュー・ルフェーブルとタイマン(語弊)はるところなんか、勅使瓦さんも身長が同じぐらいだから久々に火花が飛び散るのが見えました。
ところで佐渡さんのクリスティーヌ、以前観た時はやっぱり他の踊り子さんより年かさに見えたのだけど、今回はあまり違和感がなかった。せいぜい「ああこの人、顔立ちが大人びてるな」ぐらい。・・・ふーん、これはいいかも?
でも「Think of me」の歌い方は、相変わらずいただけなかった。特に母音の次にくる「ら行」の発音がちょっと・・・。
さてお待ちかね、若き日のシャニュイ子爵岸ラウル様登場。
スキンブルの時に歌詞をぶつ切りにして歌うのがえらく気になったので、今回もそこが気がかりでした。
が、さすがにお稽古を相当されたと見えて、ある程度解消はされていたと思います。なんとなく歌うのに精一杯という感触は否めませんでしたが。
それよりも雰囲気が良かった。「育ちがいい」と言うより「きちんと育てられた」人。「好青年」「誠実」という言葉がぴったりくるラウルです。
「遅くまで引き止めないから」という言葉が信憑性をもって聞こえたのは、岸さんが初めてかも(笑)。
ああそれから、岸ラウルは「ひげラウル」なんですが、初めて観た瞬間「誰かに似ている・・・?」と思いました。それから一幕目の間中ずっと考えていて、幕間でやっと思い出しました。
「渋谷さんが若い時にラウルをやったらこんな感じ?」と。・・・私だけ?
佐渡クリスと岸ラウルの見た目のバランスが取れていたのは嬉しい誤算でした。
男女の身長差で一番バランスがとれて見えるのは15センチだそうで、もしかしたらこのお二人はそれぐらいの身長差だったのかしらん。
いや、それだけではありませんでした。今回の佐渡さんは何かが違う。
でも「もう子供の頃の私たちじゃないのよ、ラウル」で、さっさと座らないのもまだ頂けない。
座るか座らないかのうちにファントムの声が重なってしまうのは、タイトルロールに対して失礼だと思うのは私だけか。
しかし今回は佐野さんも(私には)一味違った。
そりゃあ第一声で空気をガラリと変えてしまう点では高井さん村さんが断然上だが、・・・なんだろうこの感触。後から「何か」が体中にまとわりついてくる感じ。
またここの佐渡さんの表情が素晴らしく良かったんですわ。正に何かにとり憑かれたような。
久々に「The Phantom of the Opera」からアンマスクまで見入ってしまいました。
佐野さんと佐渡さんの声の相性がバッチリだったのが一番の要因かもしれません。
ああもっとも、「The music of the night」はまだまだ突っ込みどころ満載でしたけれど・・・。
でも汐留の時よりはるかに良くなっていると思います。それとも私が慣れたのか・・・?
「支配人のオフィス」
小泉フィルマンの新聞の投げ方が大変お上手なのに、この日ようやく気がつきました。
それから支配人ぶりがだいぶ板についてきましたね。寺田アンドレと並ぶとバランスが取れていてイイ感じです。
しかし声が…、やはり老伯爵やパッサリーノを思い出してしまう(笑)。
とどめは何と言ってもアレでしょう。
「プリ~マドッンナ」
・・・久々に耳にして、思わず泣き笑いしそうになりました。しかも寺田さんがアンドレだし。
「そして私達は、故人を忘れることはないでしょう」(元ネタ『ジキル&ハイド』の「事件、事件」)・・・と、演目違いな台詞を思い出すワタクシでした。
「イル・ムート」
増田さんはここでも当たり前のようにいらっしゃいました(苦笑)。そろそろ猫屋敷で長老やっていただけないかしら。
さらにここで、アーチの上でウロウロする佐野ファントムも台詞と口の動きが微妙にズレていたのはナイショ。でも私も今回初めて気がついた(※)ので、回数浅い方は気がつかないかも。
こういうところがわかると、「さすが佐野さん!」と思います。
※私、2階席フェチだから(笑)
オペラ座の屋上場面。
楽屋の場面に引き続き、佐渡クリスと岸ラウルが見た目以外でもバランスがとれていたのにまたビックリ。
ここで確信しました。岸さんも役作りを相当入念にしているとお見受けするが、やはり佐渡さんの役へのアプローチ方法が変わったのだろうと。
だから「趣味:観劇」はやめられない。
「ファントムの佐野さんは苦手」と公言して憚らなかったが、16・17日と連続で観て「ああ、私の好きな佐野さんに限りなく近づいた」と安心しました。
「近づいた」と言うより、「やっと完全に自分のペースで観られた」と言う方が正しいかもしれません。
はっ、また一幕目でこの長さ?
そんなワケで二幕目の感想はまたエントリーを改めます。
by piramasa
| 2008-02-29 23:54
| 芝居感想