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四季中心の観劇ブログ、時々「競馬」と「デジイチ」に「関ジャニ∞」ネタ。
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秀山祭九月大歌舞伎昼の部感想① 温故知新

私の観劇歴スタートは歌舞伎、きっかけは大学の講義でもらった国立劇場正月興行のチケットだった。
以来東京ドームでコーラを売ってもらったバイト代で、学割を駆使しながら歌舞伎座と国立劇場に通う生活が始まったのです。
最近は興味の対象が別方向にそれたのと(笑)、上演される演目が似通ってきたこと、グッとくる配役が少なくなってきたこと(←これが一番大きい)で足が遠のいてましたが、今月はさすがに食指が動いた…ということ。

さすがに十ウン年も観ていると色々なことがあります。
観始めた頃は子役だったり声変わり真っ最中だった役者が、いまや立派に一幕持ったり大名跡を襲名したり、はたまた梨園を飛び越えた活躍をしているのを観ると本気で近所のおばちゃん気分を味わったりします
反面、「生涯現役」の世界ゆえ役者の訃報に接してガックリしたことも数知れず。
その中には初めての「ごひいき」と言える役者もいました。

私は「こうなっちゃったものはしょうがない」と割り切ってしまえる性質なのだが、さすがに昨日(23日)は観ながら「亡き人の懐かしい」台詞まわしをついつい思い出してしまった。
そんなワケであまり冷静でない部分があることをあらかじめご了承くださいませ。



感傷的になりながらも歌舞伎座3階席に久々に足を踏み入れてみれば、相変わらず前ノメラーが多くて殴りたくなる(いきなり?)。
3階はA席でも花道七三が見えないから気持ちはわかるけど。
それに席の間隔が狭い。隣に男性に座られるとチビの私でも窮屈に感じて仕方がない。
歌舞伎座の建て替え案が出ているようだが、再建の暁には是非上記事項をクリアした劇場にしていただきたいものだ。

あらすじと見所はこちらでご確認を。
【車引】
つい「くるまひき」と読みそうになるが、正確には「くるまびき」です。
まずは梅王丸の辰之助、いや松緑←ファン歴10ウン年だがまだたまに間違える
ひいき目抜きにしても、つくづく荒事向きの役者になったなあと思った。
丸顔で目が大きいから火焔隈がよく似合うし、腰を落として極まったポーズが実にキレイ。
よくあんないかにも重そうな衣装と刀をつけた状態で極められるもんだ。さすがは藤間流家元。
ただ気合が入る度に声を出すクセはいい加減直してほしいなあ。初めて梅王をやった時はあんなに声が出てなかったはず。

それと松王丸の染五郎、話には聞いていたが結構似合っていたのがやっぱり意外。まあ声はちょっと迫力不足だったが…。
桜丸の亀治郎、動きはさすがにキレイだったが思ったよりインパクトがなかった。
さしもの芸達者も、風情で見せるこの手の役はなかなか厳しいのか。
まあこれは回数を重ねればクリアできるだろう。

ついでと言ってはなんだが杉王丸の種太郎。
初舞台で寝ぼけ眼で口上をしゃべっていたのと「盛綱陣屋」の小四郎が記憶にあるものだから、単純に「うわー大きくなったなあ」とこれまた近所のおばちゃん気分(笑)。
お父さん(歌昇)に似て口跡がいいのが嬉しい。もっとも萬屋一門はみな口跡がいい。
…獅童はどうだったかな。ともかくいいところはどんどん似てほしいものです。

【引窓】
1回だけ観た記憶があるのだが、いつ観たか役者が誰だったか覚えていなかった。
覚えているのは「歌舞伎座で観た」「お早は松江(当時。今は魁春)」だけ。
帰って確認したらこれまたきっかり12年前の9月!しかもお早以外メインの配役が一緒だった。
まあ「放生会」「仲秋の名月」がキーワードの芝居だから、やはり9月にやりたいのが日本人ってものよね。
ちなみに「ほうじょうえ」→「放生会」で一発変換できなかった。マイクロソフトは一体何をやってるんだ。
そんな有様だったので初見も同然だったが、結論から言いましょう。
「寺子屋」より良かった。
泣けたと言うのもあるが、間合いがすごく良かった。
つまり誰か一人がつっぱしることがなかった。芝居全体のバランスと言う点においては昼の部で一番だと思う。

吉右衛門(以下「播磨屋」)の十字兵衛。
「昔遊び人、今堅気」なんて役が正にうってつけ。侍姿でかしこまって戻ってきても、家に入る前に鬢を撫でつけてカッコつけるあたりが微笑ましい。
一番のツボは、お早に「オオそれそれ、御前は長五郎より弱い」と言われて本気でぶんむくれるところ。そしてその後ブチブチすねるところ。
…まさかご自宅でもそんな状態でしょうか(笑)。

富十郎(以下「天王寺屋」)の濡髪長五郎。
6月に博多座で観た時はさすがにお歳だなあと思ったのだが、この日は持ち前の劇場中に響く声と口跡の良さにウットリ。あの朗々とした台詞回しを聴くと天王寺屋を観た気がする。
そして相撲取りの姿が、「美丈夫」という言葉がふさわしいほどに似合う。
変な話、3階から観ると年齢がわからない。
白状します。ちょっとときめきました。

芝雀(以下「京屋」)のお早。実は私、隠れ芝雀ファンでございます。
で、お早。「世話女房」の部類に入るのだろうけど「元遊女」と言うなかなか難しい役どころ。
…あら、いいじゃない。と言うか、かわいい。
元々この人は「可憐」とか「かわいらしい」が持ち味だが、これは持ち味を超えたかわいらしさ。
遊女と言う難儀な職業から足を洗い、しみじみと人妻と言う幸せをかみしめている人間の本音。それが持ち味とあいまって京屋らしいお早になっている。
長年の積み重ねが花開いているなあと、そんな印象を受けた。
最近大役が回ってきているからこれからがもっと楽しみ。
個人的には「野崎村」のお光と八重垣姫を希望。

役者もさることながら、「引窓」の話自体がよくできていると思った。
みんないい人ばっかりだなと、単純に感動した。
それから台詞の流麗さ巧みさが耳に残った。日本語ってきれいだなあとこれまた感動した。
一番印象に残ったのは終盤、長五郎を縛った引窓の綱を十字兵衛が切った後。
 十「南無三、夜が明けた」(ここで鐘の音)
 長「スリャもう九つ」
 十「いや明け六つ」
 長「残る三つは」
 十「母が温情」
…文字にすると臨場感が途端に失せるが、再現できる方はこれを播磨屋と天王寺屋の声でリプレイくださいませ。
耳の保養です。マジで。
他にも印象的な箇所はあるのだけど、全部書くと本当に長くなるので代表でこの場面を挙げさせていただきます。
反面、「何故ここで?」という場面で笑い声が起きたのには軽く腹が立った。
例を挙げれば、十字兵衛が様子を伺う長五郎の姿を手水鉢に認めたところ。続いて機転を利かせて引窓を閉めたお早が、「まだ日が高い」とまた引窓を開けたところ。
絵的にも大変な見せ場なのに、何故笑うんだ!
確かに現代人にはピンとこないシチュエーションだらけだし、笑いが起きると言うことはわかって観ているとも言えるけどさ。
…まあ個人的見解ということで見逃してください。

…長くなったので「六歌仙」「寺子屋」はエントリーを改めます。
「引窓」だけでこんなに書けるとは自分でも思ってもみなかったわ…。
by piramasa | 2006-09-24 23:26 | 芝居感想