10月6日『レ・ミゼラブル』マチネ感想 私はジャベールが好きだ
博多座の『レ・ミゼラブル』も気がつけばあと5日で2007年の大千秋楽ですね。
合宿疲れだなんだとモタモタしているうちにプリンシパルの大半が千秋楽を迎えてしまい、明日からはスペシャルキャストが勢揃い。
…そんな状況ですが、遅ればせながら博多座合宿の顛末記を。
その前に6日は朝からテレビを見てちょっと涙ぐんでいました。
理由は前日行われたヤクルト古田の引退試合のVTRが放映されていたから。
引退試合をやってもらえる選手の方が圧倒的に少ない中、ベイスターズファンの私でもホロリとするセレモニーでした。
なんと言ってもスワローズ黄金期の立役者、いわんやスワローズファンの心中をや。
球団史上一の功労者のために朝から神宮球場に詰めかけたファンを、球団は大事にしてほしいと切に願います。
つまり何が言いたいかと言うと、朝から涙腺が緩んじゃったよ、これから今日1日どうしよう…って思ったことです。
6日マチネ、席は3階C席下手側。
構造的には新橋演舞場みたい、と言えば関東の方はわかっていただけるでしょうか。
でも博多座が演舞場と違うのは、同じ3階席でも観やすさは博多座の方が断然上と言うこと。
これはもう、後からできた劇場に分があるってもんですね。
紗幕に映し出されたリトルコゼットでオペラグラスのピントを合わせながら、徐々に心地良い緊張感が身を包む。
6月に帝劇でマイ初日を迎えた時とは違う種類の緊張感。
帝劇公演が終わってから中1ヶ月しか経っていないのに随分と観ていない錯覚に陥ったとは、自分が思うよりもはるかにレミゼの世界に浸っていたんだなあと実感する。
さてオーケストラ。以前書いたとおり縦方向に長いので、特に金管楽器は3階席に座ると一捻りされて聴こえてくる。…なんか海劇場みたいな聴こえ方だなと思う私。
まあレミゼオケはレベルが高いので、そのあたりは安心していられました。
それからこの日のグランテールは、本来ならB班の松村曜生さんが本役なのだが「休演」と言うことで、A班の伊藤俊彦さんが代役でした。
…予想どおりオープニングから既に目頭が熱くなりました。私も立派な重症患者ですね。←今更
さてこの日のテーマ①「橋本バルジャンは岡ジャベ相手でも接近するか」。
結論:接近していませんでした。
正確に言うと、岡ジャベールはこの場のバルジャンに対して距離を置いていたと思う。
語弊を恐れずに言うと、「極力他人に触れない、近づかない」ようにしていたのかと。
結果、ジャベールが近づいてこないのでバルジャンも必要以上に踏み込まない…と見えた。
正直言いますと物足りませんでした。
何故ならば帝劇で橋本バルジャンを観ること3回、その3回ともジャベールは今さんだったから。
でも考えようによっては、岡さんがジャベールと言う人物をどう捉えているかが垣間見えて面白かった。
岡ジャベール、どん底を経験した人間には到底見えないが、どん底から這い上がってきた後は容易に想像できる。
おそらく他人との距離を置くことが、自分を守る唯一の方法だと信じていたのではないか、と。
しかしその防御手段はバルジャンの出現により、長い年月をかけて侵食された。
二幕目のバリケードでは見苦しいほどバルジャンに詰め寄り、最後の対決ではバルジャンと距離こそ置いているものの空気は近かった。
「無意識」という言葉が一番つきまとうジャベールだと思った。
「俺にこの命与えて殺した」のあたり、「あ、俺死ぬしか(道が)ないのか…」と言う雰囲気が漂ってきて、このジャベールもまた哀れな人だと思う。
「やり直すことはできないのですか…」と、今なら京都あたりで聴けるフレーズを思い出しながら。
こうしてみると岡ジャベールの唯一の欠点は「二枚目すぎる」かなあ。
…おっと、バルジャンについて語るつもりがいきなりジャベりすぎたようです。
私、やっぱり根っこがジャベール好きなようですね…。
橋本バルジャンの話に参りましょう。
他のバルジャンさんと比較するとまだまだ荒削りだが、この人のバルジャンには人の心を捉えて離さない何かが確実にあると思った。
私が橋本バルジャンで一番好きなのは、「バルジャンの独白」。
好きな理由は正に「魂の叫び」だから。
帝劇マイ初日で観て号泣したのは4ヶ月も前のことだったが、また博多座で観ても同じことでした。
もひとつ、橋本さんしかやらないことで涙腺直撃なことが終盤にあります。
「私は父じゃない」の後、息を引き取る直前にふっとマリウスを見るのです。
それを見たマリウスが「おまかせください」とばかりに頷くのがもう…。
…いえ、私も8月にやっと気がついたことですが…。
橋本バルジャン、あと3回あります。これを読まれた方であと3回のいずれかを観られる方、どうぞご確認ください。
そして他人様のところで騒いだからには自分のところでもこの名前で騒ぐでしょう。
…「育さま」こと、山崎マリウス!ああもうなんて美声なんだ!(壊)
そんでもってもう一人のラウル候補(違)岸アンジョ、こちらもいい声だ!だが学生革命家にしてはムチムチしすぎだ(爆)!
富田コゼット、6月のデビュー当時と比べると本当に良くなりました。何せ6月は歌が某劇団の某メグちゃん並みに頭を抱えたくなりましたから…。ひとつ注文をつけるなら、身のこなしや仕草が「全然ダメ!」なのでバレエをきちんとやった方がいいかと思います。
6月以来久々にお目にかかるのは知念さんのエポニーヌ。
相変わらずのグレっぷりが実に素晴らしい。
唯一この10年間に何があったのか知りたいエポニーヌ…とは、初見か2回目に観た時の感想だが、やはりそんな不良少女が惚れた男のためなら何でもする…と言うのがグッときますね。…このあたりはいつでも同じ感想です。
だから私、「On My Own」で泣くのは知念さんの時だけです。。
加えて彼女、「愛してる」を歌わずに台詞で言ってたのですよ。
あれ、帝劇の時はどうだったっけ…と思い出す暇もなく鼻水をすする私。…こういうの凄く弱いのよ…。
いやー『レ・ミゼラブル』って本当にいいですねー…と某映画評論家のようなことを思いながら幕。気持ちよく泣けて気持ちよくスタオベできたのが何よりでした。
カテコは…何があったけな。観てから2週間近く経っちゃったから記憶がおぼろだわ。
感想はさっさと書くに限るなあと痛感しました。…とか言って次の無理目な遠征も同じことをやるに違いない。
【10月6日マチネのキャスト】
ジャン・バルジャン 橋本さとし
ジャベール 岡幸二郎
エポニーヌ 知念里奈
ファンテーヌ 山崎直子
コゼット 富田麻帆
マリウス 山崎育三郎
テナルディエ 駒田一
テナルディエの妻 阿知波悟美
アンジョルラス 岸祐二
合宿疲れだなんだとモタモタしているうちにプリンシパルの大半が千秋楽を迎えてしまい、明日からはスペシャルキャストが勢揃い。
…そんな状況ですが、遅ればせながら博多座合宿の顛末記を。
その前に6日は朝からテレビを見てちょっと涙ぐんでいました。
理由は前日行われたヤクルト古田の引退試合のVTRが放映されていたから。
引退試合をやってもらえる選手の方が圧倒的に少ない中、ベイスターズファンの私でもホロリとするセレモニーでした。
なんと言ってもスワローズ黄金期の立役者、いわんやスワローズファンの心中をや。
球団史上一の功労者のために朝から神宮球場に詰めかけたファンを、球団は大事にしてほしいと切に願います。
つまり何が言いたいかと言うと、朝から涙腺が緩んじゃったよ、これから今日1日どうしよう…って思ったことです。
6日マチネ、席は3階C席下手側。
構造的には新橋演舞場みたい、と言えば関東の方はわかっていただけるでしょうか。
でも博多座が演舞場と違うのは、同じ3階席でも観やすさは博多座の方が断然上と言うこと。
これはもう、後からできた劇場に分があるってもんですね。
紗幕に映し出されたリトルコゼットでオペラグラスのピントを合わせながら、徐々に心地良い緊張感が身を包む。
6月に帝劇でマイ初日を迎えた時とは違う種類の緊張感。
帝劇公演が終わってから中1ヶ月しか経っていないのに随分と観ていない錯覚に陥ったとは、自分が思うよりもはるかにレミゼの世界に浸っていたんだなあと実感する。
さてオーケストラ。以前書いたとおり縦方向に長いので、特に金管楽器は3階席に座ると一捻りされて聴こえてくる。…なんか海劇場みたいな聴こえ方だなと思う私。
まあレミゼオケはレベルが高いので、そのあたりは安心していられました。
それからこの日のグランテールは、本来ならB班の松村曜生さんが本役なのだが「休演」と言うことで、A班の伊藤俊彦さんが代役でした。
…予想どおりオープニングから既に目頭が熱くなりました。私も立派な重症患者ですね。←今更
さてこの日のテーマ①「橋本バルジャンは岡ジャベ相手でも接近するか」。
結論:接近していませんでした。
正確に言うと、岡ジャベールはこの場のバルジャンに対して距離を置いていたと思う。
語弊を恐れずに言うと、「極力他人に触れない、近づかない」ようにしていたのかと。
結果、ジャベールが近づいてこないのでバルジャンも必要以上に踏み込まない…と見えた。
正直言いますと物足りませんでした。
何故ならば帝劇で橋本バルジャンを観ること3回、その3回ともジャベールは今さんだったから。
でも考えようによっては、岡さんがジャベールと言う人物をどう捉えているかが垣間見えて面白かった。
岡ジャベール、どん底を経験した人間には到底見えないが、どん底から這い上がってきた後は容易に想像できる。
おそらく他人との距離を置くことが、自分を守る唯一の方法だと信じていたのではないか、と。
しかしその防御手段はバルジャンの出現により、長い年月をかけて侵食された。
二幕目のバリケードでは見苦しいほどバルジャンに詰め寄り、最後の対決ではバルジャンと距離こそ置いているものの空気は近かった。
「無意識」という言葉が一番つきまとうジャベールだと思った。
「俺にこの命与えて殺した」のあたり、「あ、俺死ぬしか(道が)ないのか…」と言う雰囲気が漂ってきて、このジャベールもまた哀れな人だと思う。
「やり直すことはできないのですか…」と、今なら京都あたりで聴けるフレーズを思い出しながら。
こうしてみると岡ジャベールの唯一の欠点は「二枚目すぎる」かなあ。
…おっと、バルジャンについて語るつもりがいきなりジャベりすぎたようです。
私、やっぱり根っこがジャベール好きなようですね…。
橋本バルジャンの話に参りましょう。
他のバルジャンさんと比較するとまだまだ荒削りだが、この人のバルジャンには人の心を捉えて離さない何かが確実にあると思った。
私が橋本バルジャンで一番好きなのは、「バルジャンの独白」。
好きな理由は正に「魂の叫び」だから。
帝劇マイ初日で観て号泣したのは4ヶ月も前のことだったが、また博多座で観ても同じことでした。
もひとつ、橋本さんしかやらないことで涙腺直撃なことが終盤にあります。
「私は父じゃない」の後、息を引き取る直前にふっとマリウスを見るのです。
それを見たマリウスが「おまかせください」とばかりに頷くのがもう…。
…いえ、私も8月にやっと気がついたことですが…。
橋本バルジャン、あと3回あります。これを読まれた方であと3回のいずれかを観られる方、どうぞご確認ください。
そして他人様のところで騒いだからには自分のところでもこの名前で騒ぐでしょう。
…「育さま」こと、山崎マリウス!ああもうなんて美声なんだ!(壊)
そんでもってもう一人のラウル候補(違)岸アンジョ、こちらもいい声だ!だが学生革命家にしてはムチムチしすぎだ(爆)!
富田コゼット、6月のデビュー当時と比べると本当に良くなりました。何せ6月は歌が某劇団の某メグちゃん並みに頭を抱えたくなりましたから…。ひとつ注文をつけるなら、身のこなしや仕草が「全然ダメ!」なのでバレエをきちんとやった方がいいかと思います。
6月以来久々にお目にかかるのは知念さんのエポニーヌ。
相変わらずのグレっぷりが実に素晴らしい。
唯一この10年間に何があったのか知りたいエポニーヌ…とは、初見か2回目に観た時の感想だが、やはりそんな不良少女が惚れた男のためなら何でもする…と言うのがグッときますね。…このあたりはいつでも同じ感想です。
だから私、「On My Own」で泣くのは知念さんの時だけです。。
加えて彼女、「愛してる」を歌わずに台詞で言ってたのですよ。
あれ、帝劇の時はどうだったっけ…と思い出す暇もなく鼻水をすする私。…こういうの凄く弱いのよ…。
いやー『レ・ミゼラブル』って本当にいいですねー…と某映画評論家のようなことを思いながら幕。気持ちよく泣けて気持ちよくスタオベできたのが何よりでした。
カテコは…何があったけな。観てから2週間近く経っちゃったから記憶がおぼろだわ。
感想はさっさと書くに限るなあと痛感しました。…とか言って次の無理目な遠征も同じことをやるに違いない。
【10月6日マチネのキャスト】
ジャン・バルジャン 橋本さとし
ジャベール 岡幸二郎
エポニーヌ 知念里奈
ファンテーヌ 山崎直子
コゼット 富田麻帆
マリウス 山崎育三郎
テナルディエ 駒田一
テナルディエの妻 阿知波悟美
アンジョルラス 岸祐二
by piramasa
| 2007-10-20 02:14
| 芝居感想